緑内障

緑内障とは?

視神経が損傷を受け視野が狭くなり、
放置すると失明する怖い病気です。

緑内障とは?

視神経(視覚をつかさどる神経)が何らかの原因により損傷を受け、視野が狭くなっていく病気が緑内障です。その主な原因は眼圧の上昇によるものといわれていますが、時間をかけてゆっくり進行する視野障害は気付きにくく、視野の狭さを自覚したときにはすでにかなり症状が進んでいることが多くあります。ダメージを受けた視神経は回復することなく、緑内障は中途失明原因の第一位になっているほど。それゆえに、緑内障は早期発見、早期治療が大切となります。

緑内障の症状

視野の変化に気づいたら、
早期に眼科を受診しましょう!

緑内障は初期の段階では症状がほとんどなく、自覚できませんが、進行してくると視野の範囲が狭くなったり、一部見えない場所(欠落部分や暗い部分)ができたりすることで、患者さん自身が自覚できるようになります。患者さんによっては、目に痛み、目の充血、突然の目のかすみ、頭痛やめまい、吐き気の症状が出る場合もあります。少しでも異変に気づいたら、早めに眼科を受診しましょう。

緑内障発症の構造

目の中を循環している房水の流れが
異常になることで視神経にダメージ。

緑内障とは

眼圧(眼球にかかる圧力)は、通常角膜や水晶体をきれいな状態に維持する房水によって一定に保たれています。ところが、房水の流れが何らかの原因で妨げられると、眼内に房水が溜まり過ぎ、眼圧が上昇します。それによって視神経がダメージを受け、視野が狭くなり、見えない部分ができるというわけです。

耐えられる眼圧は人によって異なります。眼圧検査で正常範囲の数値が出ても緑内障を発症(正常眼圧緑内障)する方がいて、その数は日本人の全緑内障患者の過半数を占めるといわれています。したがって、緑内障発症検査では眼圧検査に視野検査、眼底検査(眼球内の血管をチェック)も加えて診断を行っています。

緑内障の種類

眼圧検査結果が正常値でも
油断できない緑内障もあります。

緑内障は目の中を循環する房水が流れにくくなり、眼圧が上昇することにより発症しますが、発祥の過程はいくつかのタイプに分かれます。また、そのタイプによって治療法も異なります。

1.正常眼圧緑内障

日本人の患者の過半数を占める、眼圧検査の数値が正常範囲内(10~21mmHg)であっても発症する緑内障です。進行が緩やかで症状が出づらいため気付きにくく、見え方に異常を感じて眼科を受診したときはかなり進行しているケースが多いのがこのタイプです。患者さんには高齢、近視の方が多いのが特徴です。老眼になったら、緑内障の検査を受けましょう。

2.原発開放隅角緑内障

房水の流出路「隅角」が、見た目は開放されているのに目詰まりを起こし、房水がうまく流出されず眼圧が上昇し発症する緑内障です。多くのケースは自覚症状がなく、見える範囲が徐々に狭くなっていきます。正常眼圧緑内障もここに含まれます。

3.原発閉塞隅角緑内障

房水の流出路「隅角」が狭くなり閉じてしまうことで、房水の流出が阻まれ、眼圧が上昇し発症する緑内障です。急速に流出路である隅角が閉じてしまい、劇的に眼圧が上昇する「急性緑内障発作」が起きると、激しい眼の痛み、頭痛や吐き気に襲われます。このような症状が出たら、速やかに眼圧を下げる治療を受けましょう。

4.続発緑内障

網膜剥離、糖尿病網膜症、角膜の疾患、病気や怪我、ステロイドなどの薬剤使用が原因となり、眼圧が上昇して発症する緑内障です。このタイプは単に眼圧を下げる治療をするだけでなく、元にある疾患の治療をすることも大事です。

5.先天的緑内障

房水の流出路「隅角」が生まれたときから未発達なことが原因で眼圧が上昇し、発症する緑内障です。10歳までに発症する早発型と、20代までに発症する遅発型があり、早発型の多くは手術が必要となります。

緑内障の検査

各種検査を受け、緑内障の種類と進行具合を
診断してもらいましょう!

各種検査を受け、緑内障の種類と進行具合を診断してもらいましょう

緑内障を発症しているかどうか、その種類と進行具合を診断する検査はいくつかありますが、痛みを伴うものはありません。老眼の年齢になったら、一度検査を受けてみましょう。

1.眼圧検査

緑内障検査の基本となる重要な検査です。目に直接機械を当てて眼圧を測定する接触型、目に圧縮した空気を送り測定する非接触型があります。

2.眼底検査

眼の奥にある網膜や血管、視神経の状態を調べる検査です。視神経乳頭の陥没や出血の有無、網膜神経線維層の欠損の有無を確認し、緑内障かどうかを診断します。

3.視野検査

視野の範囲を調べる、緑内障の進行具合を確認する大事な検査です。初期の緑内障では中心部位から15~30度以内に視野の異常が見られます。

4.光干渉断層計(OCT)検査

目の奥の視神経線維層の厚さ、視神経乳頭の陥没程度を測定します。緑内障の早期発見や経過観察に有効な検査です。

5.隅角検査

検査用のコンタクトレンズを入れて、隅角の状態をチェックし、緑内障のタイプを調べる検査です。

緑内障の治療

症状に応じて治療法を選択。
とにかく進行を抑えることが大事です!

残念ながら、緑内障は今のところ治療や手術を行っても改善、完治するものではありません。あくまでも眼圧を下げることで緑内障の進行を遅らせ、今の視野を確保することしかできません。ですから早期治療が大切なのです。 眼圧を下げる治療法は主に薬物療法、レーザー治療、手術療法です。

1.薬物療法(点眼薬)

眼圧を下げるために点眼薬を使用し、房水の量を減らす、房水を流出しやすくします。1種類、または複数の組み合わせで行い、効果がなければ内服薬を使用する場合もあります。急性緑内障発作の場合や、点眼薬だけでは眼圧を下げられない場合は、レーザー治療、手術療法になります。

2.レーザー治療

隅角にあるスポンジ状の房水の流出口、線維柱帯にレーザーを照射し、房水の流出を促す「レーザー線維柱帯形成術」。角膜と水晶体の間にある薄い膜、虹彩にレーザーを照射し小さな孔をあけ房水を排出させやすくする「レーザー虹彩切開術」があります。どちらのレーザー治療も局所麻酔だけで、日帰り治療(※)が可能です。
※治療前の検査、治療後の経過観察が必要です。

3.手術療法

レーザー治療でも改善されない場合は、手術療法になります。詰まっている線維柱帯を切開し、房水の流れをよくする線維柱帯切開術「トラベクロトミー」は、メンテナンスや合併症が少ない安全な手術といわれています。

一方、線維柱帯の一部を切除、房水が流れるように結膜の下にバイパスをつくり、眼圧低下をはかる線維柱帯切除術「トラベクレクトミー」は最も効果が期待できる手術法ですが、術後にさまざまなメンテナンスと感染症対策が必要になります。

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