網膜の中心に色を識別し、物を見るために重要な部位「黄斑」があります。加齢によってこの黄斑が変性すると、物がゆがんで見えたり、視野の中央部が見づらくなったり、視力が低下します。これを加齢黄斑変性症といい、症状が悪化すると視力を失う可能性があります。
その発症原因は、加齢のほか、食生活の乱れ(ビタミン、亜鉛、カロチン不足)、喫煙、遺伝といわれていますが、特定されているわけではありません。
加齢黄斑変性症には滲出型と萎縮型の2タイプがあります。
1.滲出型
加齢による変性で網膜に栄養を送る脈絡膜から新しい血管が発生します。新しい血管は破れやすいため、血液成分の漏れ、出血が視細胞に障害を与え、視力の低下、視野の中央部が見にくいという症状が現れます。滲出型は進行が早く、その状態を放置すると視力が失われる可能性もありますので、症状が認められたら、できるだけ早く治療を開始する必要があります。この滲出型は日本人に多いといわれています。
2.萎縮型
滲出型に比べて進行が穏やかなのが萎縮型で、視力に影響が出ることはありません。それゆえ、萎縮型と診断されても経過観察となり、定期的に検査を行うだけです。ただし、突然、滲出型のように脈絡膜から新生血管が発生する可能性もありますので、片眼が滲出型と診断された患者さんは要注意です。
萎縮型の加齢黄斑変性症は定期的な検査を行い、経過観察となりますが、滲出型の加齢黄斑変性症は治療が必要です。脈絡膜から発生した新生血管が中心窩(ちゅうしんか)にある場合は硝子体注射「抗VEGF療法」に、新生血管が中心窩から離れている場合はレーザー治療「網膜光凝固術」が可能です。
1.硝子体注射「抗VEGF療法」
点眼麻酔をした後、白目の硝子体に新生血管の増殖・成長を抑制する薬剤を注射し、新生血管を縮小させます。麻酔が効いているので痛みはほとんどなく、短時間で済むため、外来で治療が可能です。ただし、継続的に何度か注射を打つ必要があり、治療を中断すると再発し、治療前の状態に戻ってしまうこともあります。
2.レーザー治療「網膜光凝固術」
新生血管をレーザーで照射し、焼き固めてしまう治療法です。ただし、新生血管の周囲にある正常な細胞も損傷させてしまうので、新生血管が中心窩から離れている場合のみにこの治療を行います。視力の低下を防ぐ有益な治療法といわれています。
網膜の病気には、糖尿病網膜症も考えられます。詳しい内容は下記をご確認ください。
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